森・川・海をむすぶプロジェクト

一泊二日で屋久島に出かけてきました。主目的は、ヤッコソウの種子散布の観察でしたが、今日の午後には一湊川に出かけて、ヤクシマカワゴロモを見てきました。かなり速い流れの中で、沈水状態で花を咲かせているのには驚きました。ユスリカの幼虫と思しき線形の動物がめしべの上で動いていましたが、これが花粉を運んでいるのかどうかは定かではありません。おしべとめしべは離れているので、自家受粉ではないようです。世界でもこの川だけに生息する希少種です。
湊川には、天然アユが棲んでいて、ちょうどいま産卵しているそうです。屋久島のアユは、本土のアユともリュウキュウアユとも違うという話を聞きました。これも面白い素材です。
一湊湾には、すばらしいさんご礁が発達しています。しかし、最近では、ソフトコーラルが消失するなどの異変が生じているそうです。この異変には、陸側からの影響も考えられます。
先日の屋久生物多様性保全協議会で、島の方から一湊湾のさんご礁の現状が紹介され、川・海部会をつくろうという提案がありました。屋久島ではこれまで森しか調べてこなかったので、島の方の提案を支持して、川・海部会をつくろうという結論にしました。
そこで、一湊川をモデルとして、森・川・海をつなぐプロジェクトを考案中です。一湊川は、森林水文学・生態学、河川生態学、沿岸生態学を狭いエリアで関連づけることができる格好のフィールドではないかと思います。(矢原)